布への印刷(捺染)は、通常シルクスクリーンプリントという1色ずつ版(はん)を作って手法でプリント(捺染)されていました。しかし、シルクスクリーンプリントは、その製版代が高額なため、イニシャルコストが高く、小ロットだと非常に割高になってしまうという問題がありました。
近年、インクジェットプリントという無製版でプリントできる手法の普及により、小ロットで生地へのプリントができるようになり、小規模ブランドや個人でもオリジナルデザインの商品ができるようになりました。
布・生地(テキスタイル)へのインクジェットプリントの受託加工を受け付けているサービス一覧をまとめました。
coromoza
原宿、表参道にあるファッションのコワーキングスペースで、生地プリンター以外にもTシャツ用プリンターやミシンなど服作りの施設が充実しています。顔料プリント主体で加工するので、納期も早く、洋服1着分だけつくったりする極小ロットオーダーにも対応しています。現地まで、プリントしに訪問するか、ネットオーダーを選択できるので、プリントする様子が見たい人や特急対応を希望する人に向いています。
・¥1,250/50cm~
・即日対応も可能
【2018年11月20日追記】 coromozaにて、服飾専門学生向けの生地プリントの特別割引サービスをしています。
HappyFabric
【追記】2023年3月31日でのサービス終了が発表されました。
1mからプリント可能です。選べる生地は、ポリエステルがメインとなっています。また、デザインデータの作り方などのお役立ちコンテンツが充実しており、これからものづくりをしてみたいクリエイターむけの情報が充実しています。
また、ユニークな取り組みとして、自分が作成したデザインをアップロードして生地としてバイオーダーで販売できるサービスも展開しています。
・1m2900円~(生地代込み)
・4営業日発送。
CONTRADO
105種の生地をラインナップしており、ミニマムロットもありません。
学生向けには20%オフの学割制度もあります。
加工はポリエステルは昇華転写、天然素材は、顔料インクでの加工が中心です。
こちらのサービスでは、アパレル製品のオリジナルプリントも対応しており、そちらのボディ(プリントできる製品)のラインナップも豊富で、この業者の最大の魅力は布プリントよりも製品プリントだと思います。
ロンドンを拠点としていて、問い合わせの電話番号も03で始まりますが、ロンドンに転送されます。注文後、48時間以内に出荷し、出荷から約4-6日程度で日本に到着する体制を整備しているので、ロンドンの業者に依頼しているということを感じさせません。
ただし、関税が発生するケースや日本国内とは使用する薬剤、染料に関する法律が違うので、想定外のトラブルが発生するリスクがあることは考慮する必要があります。
・1m2,320円~(生地代込み)
・加工期間 48時間 配送期間 約4-6日程度
ケントレーディング
繊維業界とのパイプを活かして、企画内容に応じて、最適なプリント手法を提案できることを強みにしています。また、アパレルメーカー向け老舗の捺染工場での加工をしているため、品質面でも安定しています。
顔料(加工工程が短く、短納期小ロット)でのインクジェットプリントと染料(ロット・納期がかかるが、品質がいい)でのインクジェットどちらも可能です。
また、各生地商社とのネットワークで、P下生地(プリント用に晒処理された生地)も様々なものを取り寄せて使うことができ、企画の自由度が高いです。こだわったモノづくりをしたい場合に向いています。
Airdye
debs社が提供するオンデマンドプリントサービスです。AirDye®という染色技術で、水の使用量を減らしたサスティナブルな加工方法になっています。ドイツのTRANSFERTEX社と提携し、たくさんの図案から選んでプリントすることができます。自分のオリジナル図案を使用することも可能です。生地に関しては、debs社が用意している生地の中から選ぶことになります。
STYLEM FABRIC STORE Print On Demand
テキスタイルコンバーター スタイレムが提供するデジタルプリントサービスです。スタイレムが用意している34種類のP下生地、457種類のプリント図案の中から好きな生地と図案を組み合わせて、インクジェットプリントができます。
最小ロット10メーターから、納期約2週間で納品されます。
テキスタイルコンバーターも生地のストックサービスを減らしているので、欲しい生地の在庫が無い場合に使い勝手がいいサービスとなっています。持ち込み生地やオリジナル図案には対応していません。
和歌山染工オンラインストア
和歌山染工は、寝具業界・アパレル業界に強い老舗染色工場です。オックスかブロードの2素材限定ですが、コットンなどの天然繊維向けの反応染料インクジェットプリントを50㎝からプリントするサービスを楽天でしています。
反応染料インクジェットプリントは、工程が多いため、一般的な染色工場では、なかなか小ロット対応していません。一度反応染料インクジェットプリントの仕上がりを見てみたいという方にお勧めです。
まとめ
生地の捺染プリントは、シルクスクリーンかインクジェットか、染料か顔料か、また、同じ染料の中でも使用インクの色数でも仕上がりが変わったりと非常に奥深いです。
従来は、ある程度の数量を発注できるメーカーしか、経験豊富なプリント生地コンバーターと取引できませんでした。しかし、今は、プリント用の図案をココナラ のようなクラウドソーシングサービスで作成したり、商用利用可能な図案データを購入し、テキスタイルプリントサービスを利用すれば、オリジナルの生地プリントを作成することができるようになりました。
テキスタイルプリントサービスで生産した商品の販売もBASE
など無料でネットショップが開設できるサービスを使えば、低リスクで、ブランドを立ち上げることができます。
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